『Kaupinojan sauna(カウピノヤン・サウナ)』

もい。

元日の午前を、Kaukajärvi の遠くの湖で、地元ローカルの空気に、そっと、身を沈めて。
一度、タンペレ中心部のホテルに、こっそり、戻ります。
コーヒーを1杯、部屋で、ふう、と、含んで、ひと息。
外は、もう、うっすらと、暮れかかっています。
今日、もう1軒、行きたい場所が、決まっていました。
夕方のバスに、また、乗り込んで、今度は、街の北側へ。
バス停で下りて、森の道を、ぽつぽつ、15分ほど。
やがて、木立の向こう、ぽっかりと視界が開けて、あの湖の岸に、木造の、大きな公衆サウナが、あかりを、ほう、と、灯していました。

『Kaupinojan sauna(カウピノヤン・サウナ)』

ネシ湖(Näsijärvi)のほとりの、公共サウナ。
昨日、6年ぶりに再訪したラウハニエミと、同じ湖の、別の顔です。
そして、この場所も、僕にとっては、6年ぶり2度目の、再訪でした。


6年前の、最上段。今回は、大丈夫でした。

受付を済ませて、水着に着替えて、サウナ室へ。
かなりの大箱、なのに、こちらも、すでに、満席。
入口近くの、空いていたスペースに、そっと、腰を下ろします。
ふと、6年前の記憶が、ふう、と、戻ってきました。
そのときは、あまりに、熱すぎて、上段には、座れませんでした。
それが、今回は、なぜだか、そんなに、熱くない。
「もしや、6年のあいだに、いろんな経験を積んできたから、ちょっと、たくましくなった?」
なんて、うれしい仮説を、いったん、頭の中で、立ててみます。
上の段がちょうど空いたので、恐る恐る、腰を上げてみると、まあ、耐えられるレベル。
おお、これは、成長かもしれない、と、ひとりで、うっすら、うなずいたのですが。
たぶん、それは、勘違い。
真相は、いたって、シンプルでした。
今日は、ロウリュを、繰り出す人の、手数が、少なかった、だけです。
思い返してみると、6年前は、ヌシ、みたいな常連さんが、間髪入れずに、じゃばん、じゃばん、と、水を、かけ続けていました。
サ活には、「あの頃、熱すぎて座れなかった最上段/今回は大丈夫でした/まぁ、ヌシがいなかっただけだけどね」と、書きました。
まぁ、そういうことです。
成長したのは、僕、じゃなくて、ヌシ不在の、今日の、たまたま、だった、というオチでした。


湖底の、攪拌機と、-10℃の水の、変なあたたかさ。

この場所のちょっと面白いところは、湖の凍り方に、こだわりがあるところです。
本来、ネシ湖のこの入り江は、冬になると、しっかり、凍ってしまう。
すると、みんなで湖に浸かることが、できなくなってしまう。
そこで、湖底に、大きな攪拌機を、じっと沈めて、水を、そっと、動かし続けます。
表面の温度は、ぎりぎりまで下がっても、水そのものは、動いているから、なかなか、jää(ヤー=氷)にならない、という仕組み。
なんとも、地味で、律儀で、フィンランドらしい、設備、です。
ただ、今回は、そもそも、湖が、凍っていません。
攪拌機の出番は、たぶん、今日は、開店休業。
桟橋の階段を、そろりと、下ります。
入ってみると、これが、当然のごとく、めちゃくちゃに、冷たい。
凍るか、凍らないか、そのぎりぎりのラインなんだろうな、と、想像しました。
そして、外気温は、およそ、-10℃。
水から上がると、体は、湖の水よりも、外の空気の方が、圧倒的に、冷たい、と、判断します。
「水の方が、あったかいんだよね。」
と、口に出して、はじめて、この違和感の、面白さに、気づきました。
数字上は、水の方が、たぶん、まだ、暖かい。
理屈は、そうなのだけれど、常識的に、その言い回しをする日は、日本では、まず、めったにない。


とにかく、人が、多かった。そういえば、元日でした。

湖に降りる階段は、いつも、少しずつ、渋滞気味です。
みんな、本当に、この、冷たい水と、熱いサウナの往復が、好きなんだなあ、と、しみじみ。
何度、往復したか、正直、覚えていません。
気がついたら、1時間くらい、経っていました。
とにかく、人が、多かった。
サウナ室の中で、ふと、「このベンチで、いま、どんだけの汗が、流れているんだろう?」と、想像しかけたのですが、ちょっと、気持ち悪くなりそうだったので、途中で、そっと、思考を、止めておきました。
もうちょっと、のんびり、味わえたら、うれしかったな、というのが、正直な感想。
そこで、ふと、思い出しました。
そういえば、今日は、元日です。
1月1日、juhla(ユフラ=祝日/祭り)の日。
フィンランドの人たちにとっても、当然、特別な日。
街の人が、まっすぐ、湖のほとりのサウナに、集まってくるのも、そりゃあ、そうです。
「そりゃあ、混んでても、しかたないよね。」
と、自分を説得、してみました。
ゲストの中には、観光客っぽい人も、ちらほら。
タンペレの公衆サウナも、「サウナキャピタル」宣言の追い風で、少しずつ、世界の観光地図に、載ってきているのかもしれません。


残りのマッカラは、共用グリルの、行列で。

じゅうぶんに、身を温めてから、館内の外の、共用グリルへ。
そう、今日、忘れないうちに、やろうと決めていたのが、これでした。
Kaukajärvi の焚き火で、初めて焼いたマッカラ、じつは、まだ、袋に、少し、残っていたのです。
(ちなみに、チーズ入りは juustomakkara、と、いうそうです。)
それを、鞄から、こっそり取り出して、共用のグリルへ、持っていく。
ところが、この共用グリルも、ソーセージで、ほぼ、満員。
みんな、あっちからも、こっちからも、思い思いに、マッカラを、じゅっ、じゅっ、と、焼いています。
なんとか、隙間を見つけて、そっと、差し込む。
遠火で、こんがり、飴色。
夕方の湖と、-10℃の空気と、ロウリュの汗と、焦げた皮の香りが、そのまま、ひとつの絵として、鼻先に、届いてきました。
残りのマッカラ、これで、素直に、消化。
2026年、いちばん最初の1日を、湖のサウナ2軒と、フィンランドのソーセージで、上手に、しめくくれた気がします。


あの頃熱すぎて座れなかった最上段
今回は大丈夫でした
まぁヌシがいなかっただけだけどね
— Greippi(2026.01.01 2回目の訪問)

Kaupinojan saunaさんの様子はYouTubeでもまとめています。よかったらどうぞ。


タンペレの公衆サウナの作法を、日本にも。

タンペレの公衆サウナの、あの、みんな、木のベンチの上に、ちょんと、小さな敷物を、しいて、その上に腰を下ろす光景。
あれは、pefletti(ペフレッティ)と、呼ばれる、フィンランドのサウナ座布のようなものです。
熱いベンチと、直接肌の間に、1枚、そっと、はさむだけで、座り心地と、衛生と、気持ちのゆとりが、じゅうぶんに、変わります。
帰国してから、家サウナや、街のサウナに持ち込む「マイペフレッティ」を、まとめてお取り寄せ。
Kaupinojanの、あの、湖畔の作法を、日本の日常にも、そっと、招き入れておこうと思います。


📍 施設情報

Kaupinojan sauna(カウピノヤン・サウナ)

🗺 Tampere, Finland / ネシ湖(Näsijärvi)のほとり/街の北側

🚌 アクセス:タンペレ中心部から市バス+バス停から森の道を徒歩約15分

🔥 サウナ:かなりの大箱/薪のロウリュサウナ/混雑時は上段の当たり方も強め

🌊 湖:Näsijärvi/冬季は湖底の攪拌機で入江の凍結を防ぐ独自運用/今回は湖が凍っていませんでした

👙 水着着用可(男女共用の場面あり)/更衣室は繁忙時は満員気味

🌭 屋外に共用グリルあり/マッカラの持ち込み焼きが可能(元日夕方は共用グリルもほぼ満席)

👥 客層:ほとんど地元ローカル/観光客もチラホラ/「サウナキャピタル」宣言以降、少しずつ知名度上昇の気配

🗓 訪問日:2026年1月1日夕方/6年ぶり2度目の訪問

※営業時間・料金・冬季運用は公式サイトで最新情報をご確認ください


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