ノスタルジックサウナ巡礼② 〜サウナシャン〜

大阪のキタの中心地・梅田から阪急でお隣の駅。

「十三」(じゅうそう)

阪急電車はこの駅から京都・神戸・宝塚へと分かれていく。

西改札口を出るとにぎやかな商店街が続いていた。

みたらし団子で有名な「喜八州総本舗」

ねぎ焼き発祥の店「やまもと」

といった行列の絶えない有名店を横目に通りを奥に進む。

大阪でも有数の歓楽街として知られるこの街だが

まだ午後の早い時間のせいかわりと静かな印象を受けた。

7分ほど歩いた先に今回の巡礼地となる

「ノスタルジックサウナ」があった。

サウナシャン

施設名サウナシャン
営業時間14:00~22:45(最終受付21:45)
入浴料60分コース 1000円
普通コース 1800円
定休日月曜日
アクセス阪急「十三駅」から徒歩7分

出迎えてくれたロマンスグレーの紳士は

私が初訪問であることを察すると丁寧に館内の説明をし

わざわざロッカーの前まで案内してくれた。

創業は1972年(昭和47年)。

今年2022年でちょうど50年になる。

施設内はレトロかつゴージャス。

おそらく当時の最高級品であった調度品が今も使われており

その空間に身を置くだけでワンランク上の自分になったような気分にさせてくれる。

シャンとはドイツ語で”schön”=「美しい・素晴らしい」という意味。

そこから美人を指す言葉として使われていた時代があった。

ゆったりとした洗い場。

カラカラの昭和ストロングスタイルかと思いきや意外にマイルドな明るいサウナ室。

しっかり冷たい水風呂。

特別なものは何もないかもしれないが

大事な部分はきっちりと高いレベルで保たれている。

特に素晴らしいと感じたのはおもてなしのこころ

サウナ室の背もたれや出口の取っ手にかけられたタオル。

冷やしたサウナハットや凍らせたタオルの貸し出し。

水風呂の雨だれシャワー。

限られたスペースに最大限に並べられた休憩用の椅子。

使用済みのサウナパンツもこまめに回収されていたし

洗い場のゴミ入れも常にきれいに保たれていた。

とにかくお客さんにくつろいでもらいたい、楽しんでもらいたい。

そのために出来ることはなんでもしまっせ

という気持ちが滞在中ひしひしと感じられた。

もうひとつ素晴らしかったのが

和ハッカを使ったアロマサウナ。

薬草系で強めのサウナは何度か経験しているが

ミント系でここまで強烈なアロマは初めて。

全身で感じる爽快感はかなり刺激的だった。

たこ焼きをつまみ

リクライニングでくつろいでいると

あっという間に帰りの飛行機の時間が迫ってきた。

名残惜しくて最後にもう一度浴場へ降りると

先ほどよりだいぶ人も増えにぎわっていた。

若い人達もちらほら。

ヤングな世代にも『サウナシャン』の良さが伝わればいいなと願いつつ

サウナ室を後にした。

「珍しくお客さんがぎょーさん見えはって。いつもはこんなことないんやけど。大丈夫でした?」

会計を済ませながら、かのロマンスグレーの紳士が尋ねてくれた。

「こんなにお客さん来てくれはるんやったら値上げなんてせんでもよかったんやけど」

大阪らしいユーモアと優しい気遣いに

またほっこりと心が温まった。

「またぜひおいでください。お待ちしてます。」

優しい笑顔に見送られ施設を後にする。

縁もゆかりもないここ大阪に

また帰ってきたいと思える場所ができた。

そのことがなんだかとても嬉しかった。

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