
もい。
年末、鹿児島。
毎年、ひとりで、赤い翼の朝イチ便に、こっそり、乗り込みます。
桜島の煙を、右手の窓ごしに、ちょんと、確認して、鹿児島空港へ、着地。
バスで市内に下りて、まっすぐ、あの場所へ。
『ニューニシノ』。
ここへ、ひとり忘年サウナ旅に来るのも、今年で、もう、5年目です。
5年目の、いつものルーティン。

午前中の、静かな、サウナ。
天然温泉。
館内の食堂で、いつものサウナめし。
スポーツマッサージで、この1年の、こわばりを、そっと、ほぐしてもらう。
リクライニングで、ふう、と、ひと眠り。
起きて、また、サウナ、天然温泉、水風呂。
夕方、天文館まで下りて、ちょっとだけ、飲んで、ラーメン食べて、空港のバスに乗る。
これが、5年、変わらずに続けてきた、ひとり忘年のフルコース。
今年も、そのつもりで、朝の便に乗ったのでした。
そして、届いた、しらせ。

ニューニシノで、午前の湯とサウナを、まったり、済ませて。
食堂のカウンターで、スマホを、ぽつん、と、開いたら、そこに、届いていたのが、そのしらせ。
「ノリエックスさん、ラストアウフグース、ぬくもりの湯で。」
一瞬、視線が、宙で、止まりました。
ぬくもりの湯は、同じ鹿児島、大好きな、あの1軒。
出水(いずみ)まで、新幹線で、ひと駅ふた駅、そんなに、遠くもない。
心のなかでは、ほとんど、決まっていました。
いつもより、早めにマッサージも受けて。
名残惜しくも、ニューニシノを、14時で、切り上げ。
鹿児島中央駅へ。
九州新幹線で、出水駅へ。
出水駅から、タクシーで、10分ほど。
16時のアウフグースに、なんとか、間に合いました。
16時、満員のサウナ室で。

いつもの、強すぎる水圧のシャワーで、身を清めて。
サウナ室は、すでに、満員。
3段のベンチ、両サイド、後ろの列、みな、正面を、向いています。
やがて、ノリエックスさん、登場。
BGMが、じゅっ、と、切り替わって、流れてきたのは、X JAPAN(だったはず)。
名前どおり、ノリノリの、タオルさばき。
ぱん、ぱん、ぱん、と、リズムを刻んで、天井の熱が、ぐん、と、下りてきます。
投げ技が、決まるたび、拍手、拍手、拍手。
満員のサウナ室が、そのまま、ひとつの、大きな、ライブ会場に、変わっていきました。
これが、jäähyväiset(ヤーヒュヴァイセット=別れ/お別れ)の1回。
風と、熱と、うれしさが、いっぺんに、ふう、と、押し寄せてくる、その時間でした。
あの頃と、いま。

ふと、思い出したのが、初めて、ここでアウフグースを受けた日のこと。
まだ、風を送る側も、受ける側も、みな、手探り。
送る側の熱量に、受ける側が戸惑っている、そんな空気が、うすく、部屋のなかに、漂っていて、正直、ちょっとだけ、ビミョーな感じすら、していた、あの頃。
そういえば、鳥羽ヨーヘイさんも「ぽかーんグース」なんて、自虐的に呼んでいたっけ。
それが、数年経って、今日、この、満員のサウナ室の一体感。
サ活には、「今日の満員のサウナ室の一体感は、感慨深いものがありました」と、書きました。
文字にしてみると、なんだか、そっけないのだけれど、実際は、もっと、じわり、しています。
ぬくもりのアウフグースの歴史を、ほとんど、0から、コツコツと、作り上げてきた側の1人。
それが、ノリエックスさんでした。
気がつけば、いまでは、showtoという、若手のアウフギーサーも、ぐんと、伸びてきている。
ひとつのmuisto(ムイスト=記憶/思い出)が、静かに、次の世代に、受け渡されていく、その景色を、後ろの席から、そっと、見ていた気がします。
また、どこかで。

本当は、この日、18時に、鳥羽ヨーヘイさんとのコラボ回も、控えていました。
ぬくもりのアウフグースを、ほとんど、0から作り上げてきた、あの2人の風を、同じ日に、一緒に受けられる、最後の機会。
だいぶ、うずうず、していました。
けれど、空港へ戻るバスの時間と、どうにも、噛み合わず、今回は、断念。
これは、僕の側の、いちばんの、心残りです。
あの頃、休憩時間のあいだも、館内のすみで、ずっと、タオルを、くるくる、回して、練習していたノリエックスさんの、後ろ姿を、ふと、思い出しました。
同世代としては、正直、もうちょっと、続けて、頑張ってほしいな、という気持ちも、うっすら、あります。
でも、それは、たぶん、僕の、こちら側の、勝手なわがまま。
とりあえずは、まず、おつかれさまでした、を、まっすぐ、伝えたい。
そして、そのあとに、こう、つけ足しておきたい。
いつもの年末ニューニシノでまったりしていたら
ノリエックスさんラストアウフグースとのお知らせ
まぁそんなに遠くないかと新幹線に乗って来ちゃいました初めてココへ来た時のみんな手探りだったあの雰囲気からすると今日の
満員のサウナ室の一体感は感慨深いものがありましたノリエックスさんおつかれさまでした
またいつか
どこかで
— Greippi(2025.12.24 7回目の訪問/水曜サ活)
短い滞在時間でも、この日、ここに来られて、本当に、良かった。

出水から、鹿児島空港ゆきのバスに乗って、すっかり暗くなった空を、右手の窓ごしに、ぽつぽつ、眺めます。
今回は、天文館の1杯は、また来年に、お預け。
そのぶん、鹿児島空港のサクララウンジで、生ビールを、1杯、じゅうぶんに、味わうことにしました。
帰りの赤い翼のなかで、目を閉じたときに、瞼の裏に、まだ、うっすらと、あの拍手の音が、残っていました。
ノリエックスさん、本当に、おつかれさまでした。
また、いつか、どこかで、あの風を、もう一度、受けられる日を、こっそり、楽しみに、しています。
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